2013.03.05 Tuesday 22:18

実際、市役所の仕事ってどんなよ(9)

市役所事務仕事の実際(9)

これまで例として取り上げてきた福祉部門での新規事業の立ち上げ例については、いったん今回でおしまいです。

9 申請受付・事業開始

さあ、いよいよ申込み受付開始です。

事業によって電話での受付か窓口で申請書による受付かは異なります。

これまで検討してきた予測のとおり、実際に受付の手続はスムーズに流れるか?予想外のケースはないか?「こういう場合は申請できますか?」といった、グレーゾーンの対象者に関してどう判断するか?などなど、実際に始まってみると、これまで机上で考えてきたことと比べて予想外のことも起こり得ます。

ケースごとに個別に対応する経験を蓄積して、必要があれば運用の仕方やマニュアルの改訂をします。事業をまわしている中で生じた、想定外のケースや、予想外のクレームなどに対して、どう対応するか?その場で解決できるものか、今後の規定の改正を要するものか?・・・

ともあれ、申請受付から審査、決定、サービス提供、費用支払いまで一通りまわして、「ちゃんと計画どおりまわった」とホッと胸をなでおろせます。

それもつかの間、新規事業は目立つので、利用者数などの実績について、議会などで質問されたりします。そのため、申請数や給付額など、実績の数字は押さえておくようにします。

こうして、事業計画から予算取りを経て(PLAN)、実際に事業を執行し(DO)、実績をまとめそれを評価し(CHECK)、それに対する改善(既定やマニュアルの改訂=ACTION)という流れになります。

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2013.02.22 Friday 22:29

実際、市役所の仕事どうよ?〜広報

市役所の事務の仕事の実際例

福祉分野の新規事業立ち上げを例に、具体的な実際例を紹介しています。今回は新規事業の広報。

8 広報

事業実施に関する規定も整備され、後は事業開始日を待つだけ。その前に、事業開始の広報しなければなりません。

せっかく新規事業を開始するのですから、このサービスを必要としている人がわかるように、そして対象者の条件や申請方法、持ち物など、わざわざ電話で問い合わせなくてもわかるように、市の広報紙(市報)や市のホームページで広報します。そのための原稿を書きます。ホームページであれば、その同様の内容の原稿を、ホームページ作成システムに入力して確認します。

市報はどうしても紙面が限られてしまうので、「あれもこれも」は載せられず、必要最低限の内容しか掲載できません。一方、ホームページであれば、一般的にスペースの制約がないので、市報よりも詳細に掲載できます。ただし、やはり市報の方が圧倒的多数の目にとまることとなり、ホームページは、高齢者などは特に見ないので、広報の効果は市報には劣ります(だからといって、手を抜いていいわけではありませんが)。 

また、同様の内容を記載したチラシを作成し、役所の窓口や出先機関、関係機関(今回の例でいえば障害者サービスなので、市内の障害者関係施設、作業所、医療機関など)に置いてもらうよう、配布します。

コミュニティバスを走らせていれば、車内広告のように掲載してもらうこともトライします。 


2013.02.12 Tuesday 22:14

市役所の仕事ってどんなよ(7)

市役所実務の具体例として、福祉部門の新規事業立ち上げを取り上げています。

前回までで事業計画、予算取り、根拠例規ができあがり、今回はより事業開始に具体的な書式やマニュアルの準備についてです。

7 用紙・マニュアル整備

この事業についての規定が、6で決定したら、実際の申請手続きに使えるように、申請書類等の用紙を印刷して窓口に準備します。また、自分以外の職員も対応できるよう、制度説明や概要書類、受付、審査に関する事務マニュアルを作って、関係職員に説明しておく必要があります。

つまり、対象者はどういう要件で、手続きの際の持ち物は何か、手続きから何日くらいでサービス開始がされ、自己負担金はどうか、などなど、5や6で決めたことを、利用者や受付担当者が理解できるレベルで説明します。

この際、ある程度いろいろな質問を想定して、想定質問に対する答え方のQ&Aなども作っておくと、窓口対応がスムーズになります。

また、ここが業務効率化のポイントですが、なるべく、対市民(利用者)向けの説明書き(チラシ)と、職員用のマニュアルを共通に使えるようにしておくことです。つまり、職員用マニュアルと利用者用案内を別々に作成すると二度手間ですが、なるべく共通にしておけば、手間はダブりませんし、利用者が見ているものと同じものを職員も使用するので、目線が同じになります。もちろん、書類審査の詳細や受付後の事務処理など、利用者向けに必要ない部分は、職員用のみとなります。 

・・・つづく・・・

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2013.02.05 Tuesday 22:12

市役所の仕事ってどんなよ?(6)

市役所実務シリーズ

今回は、いよいよ新規事業についての根拠である条例・規則づくりです。

この作業は、嫌がって避けたがる職員も多いのですが、ぜひ「自分で法律を作るんだ」くらいのやりがいを感じて取り組みたいものです。

実際、やり遂げると、カタチに残る仕事として、その後の自分のキャリアの上で、大きな自信・財産になります。


6 例規・要綱等の作成

事業計画でまとまった事業の実施方法について、実施要領を定める条例又は規則又は要綱といった「きまり」を作る作業になります。いわば自分で法律を作文するようなものです。

「第1条 本事業の目的は○○をはかることとする。第2条 本事業の対象者は・・・」など。3のリサーチで他市から同様の事業の規定を入手できていれば、それを参考に、当市での運用を考慮してカスタマイズすればいいです。まったくのゼロから規定を作り上げることはあまりなく、他市や他市での規定が見つからなければ、高齢者の同様の事業の規定を参考にするなど、何らかの規定を参考にすると、別に法学部出身でなくても、規定が作成できます。

もし、条例をつくるのであれば、細かいところまで全部条例に盛り込むのではなく、面倒でも、議会に諮らなくていい規則や要綱を別途作成し、なるべくそちらに入れるようにします。そうしないと、後でそうした細かいところを直そうと思った時に、いちいち議会にかけなくてはならず、多大なエネルギーを要します。議会に諮る条例には、事業の大筋や市民の権利・義務に影響を与える部分(例えば、サービス提供の内容や、利用料金の設定など)に絞り、申請や取りやめなどに使う様式(申請書や届出書)の様式などは、なるべく規則以下にしておいた方が、やりやすいです。

蛇足ですが、このことは法律・政令・省令もそうなっています。事業の重要な部分や、国民の権利義務に関するもの(事業の概要や国・県・市の役割、罰則など)は、国会にかける法律で定め、「政令に定めるところにより、○○省令に定める事項を届け出るものとする。」というようなくだりで、細かい要件や届出事項は、国会にかけない政令や、各省庁の規則で定めます。これを「政省令への委任」なんて言います。でも、そうした事柄を政令や省令に委任する、という文言は法律にあるので、政省令に委任していいかどうかは、やはり法律で国会に諮っているわけです。

というわけで、ハナシが横道にそれましたが、市役所でも同じで、「この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める」などと条例でうたって、詳細は、議会に諮らない規則にうたいます。

そうして、例規を浄書する担当の部署にチェックしてもらい、修正作業を繰り返します。

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2013.01.28 Monday 22:14

実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?(5)

「 実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?」の5回目です。

今回あたりから、使う仕事のスキルは、文書法務力になってきます。

5 事業計画

交渉の結果、協力事業者も整い、予算も獲得の方向性となれば、3のリサーチした資料を参考に、当市での事業運用の具体的な方法(対象者や回数、自己負担額の設定や申請書の様式の設定等)を決めていきます。

具体的には、まず根拠を条例とすると規則とするか要綱レベルとするか。

違いは、条例は市議会にかけて、市民から選挙で選ばれた代表である市議会議員の賛成多数が必要になるもので、市民の利害に重要な影響を及ぼすもの(例えば罰則があったり、利用料がかかったりするものなど)、重大な権利義務が生じるものは、条例にします。

そうでなければ、市議会にはかからない規則や、もっと影響が小さいものは要綱で済ませます。要綱は、役所内部の事務手続きのガイドライン、マニュアルのような性質になります。
そうした条例や規則、要綱にどのような内容を載せるか。

実は、予算を要求する段階で、金額に影響する部分の計画は作られているはずです(それをもとに、予算額を算出しているのですから)。ですから、この事業計画は予算要求前に、大まかなところは作らなければならないものです。

・・・次回につづく・・・

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2013.01.23 Wednesday 22:14

実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?(4)

実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?(4)

市役所の事務の仕事の実例シリーズです。今回は、新規事業立ち上げのための交渉についてです。

4 交渉

ここで必要な交渉は、
(1)事業資源(委託事業者)への事業参加への交渉
(2)財政当局から予算獲得のための交渉
(3)予算獲得のための、国・県からの補助金獲得の交渉
くらいです。

(1)については、対象となる委託予定事業者に、そもそも事業参加の意思があるかどうか。委託料や条件によって事業参加する意思があるのであれば、条件面での折り合い。どこまで譲歩できて、どこからは譲れないか。「業者に仕事を下ろす」なんて態度で臨むと、どこからも断られる恐れもあります。もし市内で協力事業者が確定しなければ、近隣自治体の事業者にもあたる必要があります。

(2)については、財政当局に対し、事業実施の必要性即ち1のニーズをどれだけ訴えられるか。そして3のリサーチ結果の情報も整理し、事業実施の費用対効果をアピールすること。

(3)については、(2)の財政的裏付けとしても重要であり、補助金の交付対象に合致しているか検討し、合致しそうであれば、1のニーズや3のリサーチの結果得られた情報をもとに、補助金対象事業の概要や経費見積もりなどを準備し、アピールすること。

重要な交渉は、上司にでてもらうこともありますが、その段取りなどはすべて、担当者である自分が整えておく必要があります。

(次回に続く)

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2013.01.17 Thursday 21:56

実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?(3)

前回、前々回に続き、市役所の事務の仕事の具体例について、「障害者向け配食事業」を立ち上げる、という仕事を例に、紹介しています。

ここで、役所の仕事を少しでも実感していただくと同時に、自分の能力で生かせるところ、伸ばすべきところなども考えてみてください。

3 リサーチ

事業立ち上げの意思決定のためにも必要なことですが、その事業に関し、事前に調査すべきことがたくさんあります。

(1)ニーズはどの程度の規模(利用者数×利用量)と見込まれるか?
(2)その事業を実施できる資源(委託事業者)はあるのか?
(3)どれだけの費用がかかるのか?
(4)利用者の負担はどうするか?
(5)国や都道府県からの補助金はあるのか?
(6)他市の状況はどうか?

などです。

(1)は予算を設計する上でも、(5)でサービス供給ができる規模かどうかを検討する上でも、まず必要な調査になります。調査方法としては、市内の障害者関係施設等(作業所や通所授産施設等)、障害者関係団体等にヒアリングし、それぞれに所属するメンバーでこの事業が始まったら利用するであろう人数はどのくらいか、それプラス、どの関係機関にも所属していない利用者数を加味して決定します。一人あたりの利用量は、平日のみ(あるいは休日も含める)で毎夕食などとしておきます。

(2)(1)が需要であるならば、(2)は供給です。いくらニーズがあっても、そのサービスを実際に提供できるサプライヤーがなければ事業として成り立ちません。

(3)については、他市での状況を聞いたり、市内の事業者から見積もりをとるなどして単価を見込み、(1)の規模と掛け合わせます。

(4)いくら障害者福祉とはいえ、食事を提供するのに「タダ」というわけにはいきません。これも他市などを参考に、あまり負担にならない程度の額を負担してもらいます。もちろん、生活保護世帯は負担金免除などといった配慮は必要です。

(5)経費が発生する事業の場合、必ず「その事業に補助金、助成金はないのか?」が問われます。あるなら利用しない手はありません。単体の事業に対する助成でなくても、さまざまなメニューに掲げられている事業のうちどれかを実施すれば助成される、といった包括型の補助金もあります。地方交付税交付金、特例交付金として加味されるという場合もあります。
以上、(3)〜(5)は予算を設計し要求するために必要になる基礎数値です。

(6)は、(1)〜(5)を見積もるための、参考となります。上司も議員も、二言目には「他市の状況は?」と尋ねてきます。

このごろは、各市町村のホームページが充実しているので、事業の概要やそれについて規定している条例、規則、要綱などをネットで検索、閲覧できる場合も多いです。
ですから、こうしたネット上で調べられることは、できるだけ調べる、というネット検索、資料集めというスキルが必要になります。

そして、ネット上では調べられないこと、例えば上記の(1)〜(3)や、数字や資料ではわからない、その事業の難しさや利用者の状況など、直接電話等で聞き出さなければならないこともあります。そうしたときは、まず何を聞きたいか、ポイントをいくつかメモしておき、その上で、勇気をもって電話をかけます。「いつもお世話になっております。○○市○○課の○○と申します。お忙しいところすみませんが、障害者配食サービス事業について教えていただきたいことがあるのですが、ご担当の方はお手すきでしょうか。」などといって、担当者から話を聞き出します。

また、「食事の配達」という事業の実際のところをお願いできる事業者さんはあるのか。この場合、高齢者向けの配食サービス事業者さんはあるはずですから、高齢者の担当課からその事業者リストなりを入手し、その中から、障害者にも同様のサービスを提供できるところを見つけていくことが必要になります。

・・・次回に続く・・・

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2013.01.11 Friday 23:51

実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?(2)

市役所の事務仕事の実際例

前回から、市役所での事務の仕事が具体的にどんなものか、新規事業の立ち上げから実施までを例にとって紹介しています。


2 新規事業実施の意思決定

次に上司も巻き込んで、主管課として実施の方向で決定できるかです。

ここが、最難関といってもいいでしょう。もっとも肝心なところです。しかし、上司次第なところでもあるので、はがゆい結果になることもままあります。

新規事業の立ち上げの是非を上司に相談すると、やる気のない上司は「できたらいいけど、予算的に難しいよね」などと流されるか、多少前向きな上司であれば「他市の状況を調べろ」と、言ってきます。

いずれにしても、ここで上司(主管課の所属長)を巻き込めるかどうかが、次の重要なハードルになります。

実際、ここでボツとなるケースも非常に多いです。もちろん、上司が、費用対効果的に実施すべきでない、と的確に判断したのであれば、もちろんその方がよいのですが。

担当者である自分自身が立ち上げが必要だと思っているのであれば、上司を巻き込むには、市民からどれだけニーズ・要望が寄せられているのか、他市ではどうかなどを伝えることが必要になります。

必要な能力・スキル
・他者へのアピール力・プレゼン能力
・相談力(他人にうまく相談できる能力。相手に全面的に答えを求めるのではなく、自分である程度の方向性、あるいは選択肢を用意し、相談者の意見を利用できる能力)

つづく・・・

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2013.01.09 Wednesday 22:35

実際、市役所の事務の仕事ってどんなよ?

市役所の職員で事務の仕事とは、いったいどんなんでしょうか。


実際に勤めてみないとイメージがわかないでしょうから、一つの事業の立ち上げを例に、必要な仕事と、必要な能力について、何回かに分けて、ご紹介していきたいと思います。


それでは、仮に、当市で初めて「障害者向け配食事業」を立ち上げる、という場面を例に、どんなことをして、どんな能力が必要がを見ていきます。


1 ニーズのキャッチ


新規事業を立ち上げるには、その事業が必要とされるニーズを把握する必要があります。


この把握のきっかけは、いろいろあります。例えば、
(1)議会で議員から提案され、課長から検討するよう命じられた
(2)市民や関係団体などから要望された
(3)資料や会議等で、他市では実施していることがわかった
(4)自分で必要だと思い込んだ
などが考えられます。もちろん、この(1)〜(4)だけではないでしょうし、また単体ではなく、組み合わさっている場合もあります。


(1)の場合は、上から指示されたという、「トップダウン」なので、自分でやる気にならなくてもやらなくてはならない仕事になります。


(2)や(3)の場合は、その事業を当市で立ち上げる必要性があるか、まず担当者である自分自身がそう思えるか、です。この場合の事業の立ち上げ方は、担当者レベルから上司にり、予算当局を巻き込む、という「ボトムアップ」になります。


いくら要望が寄せられても、自分自身が「新規事業なんてめんどくさい。自分の後任の担当者が考えてくれればいいな」なんて後ろ向きに思っていると、この時点でゲームオーバーです。


実際、ほんの一部の市民のニーズで、費用対効果的に重要でないならば、もちろん先送り(基本的に「やらない」)でいいのです。財政難の市役所です、「選択と集中」が大事です。


しかし、担当者レベルの個々の職員が、ここでその新規事業を前向きに考えてみるか、費用対効果の点で見送りがよいか、正しくかぎ分けることが、とても重要なことです。ここで必要になるのは、費用対効果を的確に判断できる評価能力、そして面倒がらずに前向きに考えられるかという意欲です。


そして、実際のところ、本当は検討に値する事業なのに、担当者レベルで見過ごして日の目を見ないということが、とても多いと思います。


必要な能力・スキル
・情報をキャッチする力
 :要望やクレームからも、改善に役立ちそうな要素を見つけ出そうとする力
・前例踏襲ばかりでなく、新しいことを怖がらず、面倒くさがらずやってみようと思える力
・(あると望ましいのが)新しいことを立ち上げたことのある経験(成功体験)

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